· 

405. コールポート/アデレードシェイプ総手描き6客ティーカップ+ジャグ・シュクリエ・大皿セット(英1833-1845年頃)

405. コールポート/アデレードシェイプ総手描き6客ティーカップ+ジャグ・シュクリエ・大皿セット(英1833-1845年頃)

 

「ティーカップの中で最も美しいシェイプ」と謳われるアデレードシェイプ。このシェイプの名は、1833年生まれの王妃アデレードの名に由来しています。王妃アデレードは、ドイツのハノーファー王国副王の娘であり、英国ヴィクトリア女王の従妹にあたります。王妃アデレードの長女は英国王ジョージ5世の妻として有名なメアリー・オブ・テック(現在のエリザベス2世の祖母)です。

 

コールポートの作品で1820年代後期から1830年代にかけて人気だった「ナンバーセヴン」という名のシェイプがあります。このシェイプはアデレードシェイプを少し単調にしたような造形ですが、このナンバーセヴンのデザインがロココ・リヴァイバルとしてブレイクします。そして1830年代、コールポートの工場はどんどん活気があふれ、窯の絵付け師や技術者、職人たちの腕や発想がさらに発展していく流れの中で、ナンバーセヴンはさらに繊細に、そしてさらにロココの要素を強め洗練されたアデレードシェイプへと枝分かれしていったという研究者の見解があります。

 

こちらのセットのパターン番号は、4/455と金で手書きされています。一部のカップの底には紫色で印のようなものが書かれていますが、これが年代を表しているのか、絵付け師のサイン等かは不明です。

 

アデレードシェイプについては1830年代と推定されるものが殆どで、実際多くのものが1833年からジョン・ローズが他界して工場に転機が訪れる1841年の間に作られたものが多いのだと思います。ただコールポート専門書によると、「シェイプはそのままで違う絵付けが色々デザインされ、アデレードシェイプがオリジナルのコールポートのパターン帳(デザインブック)の1840年以降にもしばらく続いていることから、当時の人気が伺われる」(Michael Messenger著 COALPORT 1795-1926)と記されていることと、またこのお品のパターン番号の上番号が「4」であることから(アデレードシェイプの絵付けデザインのシリーズが2から始まり3,4まで続いているのがトレースできると同書に記されています)ことから、アデレードシェイプの中でも新しい画柄として、1840年以降の製作もありえると推測し、1845年頃までとして区切っています。絞るとすれば1840年頃が近いのではないかと思います。

 

同シェイプのカップは、金彩装飾がふんだんに施され、縁の繊細なモウルドと背が低く口径の広い優雅な雰囲気の佇まいがその魅力です。このシェイプには、カップやソウサーの中心に花のブーケが一つずつ描かれているものが多く見られますが、今回入手したこちらのセットは珍しく、中心に一輪の花、そしてその周りにカップは3つのブーケ、ソウサーには4つのブーケが描かれています。とても可憐な意匠ですね。

 

1mmにも満たない細さの繊細な筆で描かれた花々の輪郭、そして丁寧に彩られた艶のある絵付けからは、深みのある菫色、青空のように透け感のある青、柔らかいクリーミーな黄色、あたたかみのある華やかなローズ色、濃淡のある葉の緑や黄緑、小さな一つ一つの花を特徴的な色合いと共に楽しむことができます。全てのピースが違う花の組み合わせというのが総手描きの醍醐味ですね。

 

アデレードシェイプのティーカップは、その美しさと古さから、現代ではとても貴重な作品として世界中のコレクターからも人気です。ダメージの無いものを1客入手できるだけでも素晴らしいことですが、幸運なことに今回は15ピースセット(ティーカップコンプリート6客、スクエアプレート、ミルクジャグ、シュクリエ(蓋つきシュガーボール)というセットが、奇跡的にダメージ無しの状態で入手することができました。

 

<コンディション>

 

・すべてのピースにおいて、欠け、ひび、貫入の無い素晴らしい状態です。

 

・表面に軽いスクラッチがある程度で、目立つ傷はありません。

 

・絵付け/金彩の擦れも僅かにある程度で、非常に綺麗に残っています。

 

以上から、保存状態はこれ以上ないと言えるほど優秀です。

私は、この時代のシュクリエで蓋のつまみやハンドルに修復やダメージが無いものは、初めて出会いました。

これらより半世紀新しいものでも、セットの半分は貫入があるというような状態は普通にありますが、全ピースに貫入がないというのも正直信じられないほどのコンディションです。

 

焼成時由来の状態については、いくつか言及することがあります。

この時代の物は小さなものを挙げるとキリがありませんが、目に入った部分は写真に挙げておりますので、お写真を拡大の上ご確認ください。どれも気にならない程度で、お品の美しさを損なうレベルのものはありません。

 

・小さな黒点(殆どが針で突いたようなサイズ)がいくつか、特にカップ外側の縁に点々とあります。

 

・小さな異物や混合物(特に釉薬の中や磁胎の中に混じって)、そして表面に塗料の飛びなどがいくつかあります。

 

・シュクリエの脚の前後の長さの差が約5mmあります。脚は合計4つあり、左右は高さが斜め方向に坂のようになっているのかもしれません。見た目ではわからないのですが(後天的なダメージ等ではなく、オリジナルの状態です)、それで置いた時に前か後ろどちらかに僅かに緩やかに傾いて落ち着きます。後ろ側に僅かに傾いて落ち着いたものを少し前に傾けると、前側に5mm程傾いて落ち着きます。傾いて落ち着くといっても、どちらに傾いている場合でも、見た目はまっすぐ立っているように見えて違いがないというレベルで、傾きが見えるわけではありません。

 

最初に落ち着いた時点からその後はグラグラすることはありませんが、常時飾られる際、ご心配の場合は耐震用の粘土など(日本のアマゾンにあると聞きました)を浮いている方の底に置いてあげるとしっかり落ち着くかと思います。この脚が全て揃っていないことというのは、1800年代のお品によくあります。量産化が進むとそういったものは無くなってくるのですが、アンティークの品としては不良という感覚ではないようです。

 

カップ:口径10.3cm、高さ5.5cm ソウサー:直径15cm スクエアプレート:26cm×23cm ジャグ:高さ約10cm、最大幅約14cm シュクリエ:約17cm×約17cm(蓋含む)

¥0

  • 在庫切れ