彼の愛する荒野、それはとてもとても不思議な場所

Dartmoor: ダートムーアとよく日本語では表現されるけど、イギリス人が言うと「ダーモア」と聞こえるここ。

 

ここを形容する言葉を引用すると、「イギリス随一のワイルドな景色が広がる」、「ひとを寄せ付けない不気味な沼沢地」、「雄大」、「荒涼とした大自然やストーン・サークルなどの遺跡が残る」、「手付かずの原野」、「森林地帯あり、川あり、谷あり…と、変化に富んだ地形をしている」。

 

さらには、「シャーロック・ホームズの”ヴァスカビル家の犬”の舞台」、「アガサ・クリスティーが生み出した有名な探偵?、ミス・マープルが住んでいたセント・メアリー・ミード村のモデルとなった村があるところ。」

 

面積954k㎡、イギリス南西部にある国立公園、Dartmoor. リッチの愛するこの土地は、手付かずの自然と野生の動物たちがのびのび暮らしている荒野。この荒野の中に点在する小さな村々には、茅葺屋根の昔ながらの家が残っていて、花いっぱいの本当の「イギリスの美しい田舎」が垣間見える。

たとえば、こんなふうな。
たとえば、こんなふうな。

晴れた日は、この上なく美しい穏やかな風景。季節ごとに咲き変わる花の色で一面が黄色になったり、紫になったりするところもある。

 

ひとたび曇って強い風が吹き、いよいよ空が暗くなってきたら景色は180度姿を変えて、荒涼とした原野に。

 

道なりに車を走らせていくと、どこまでもどこまでも続いているよう。

もし迷ってしまったらも、もう出口が見つからない感じさえする。

この場所のタイトルとして「イギリスの不思議な場所」と冠したのは、私の個人的な意見からだけだけど、ストーンヘンジに行った時よりもずっとずっと大きな、なんていうか、パワー?を感じる。エジプトのピラミッドの中に入ったときの感覚に少し似てるような、違うような、でも古代の力。

 

上の写真にあるように、このDartmmoorにはひとの目を奪うあるものがあって、それは「Tor」と呼ばれる花崗岩の、ところどころに積まれている岩でできてる。これが何か特異な景観を生み出しているみたい。

 

「Tor」とはケルト語で「タワー」の意味があるだとか。何百トンもありそうな岩が、その視野に見える限りの一番高い丘の上に点在している。

 

とてもとても広い原野なので、そのときの視野にはひとつしかなくても、次の丘を越えたとき、またむこうのほうに、奇怪な形の、でもかっこいいTorが見える。といったふう。

 

Torだけじゃない。古代の人たちの家の石の家の跡などの遺跡にもときどき遭遇する。 たくさんの石がずいぶん遠い昔からあるようだ。

 

私たちにとってのこの荒野の魅力は言葉で表現するのは難しいけど、要素は「遺跡」、「手付かずの自然」、「野生の動物」、「めっちゃ冒険できる!」

 

リッチと私は週末になると、持てる限りの装備をして(お弁当とか方位磁石とこの荒野の全地図にレインジャケットなどなど)、よく冒険に出かけた。

毎回私が適当に地図を見て目指すTorを決める。

大体2,3時間歩いてそこに着けそうなところを計算し、道に車を停めて冒険が開始する。

 

一見、草原に見えるところでも、足を踏み入れると沼地のようになっていって、もたもたしてると足がずぶずぶと埋まっていったり、岩から足を滑らせると10数メートル下へまっさかさまだったり、川の岩をうまく使って渡らなければならなかったり、イバラの道をとげにさされながら抜けなければならなかったり。

そんなとき、リッチは私をおぶって水溜りの中を防水ブーツで息をきらしながら進んで、川の岩が離れすぎてたら、丸太を持ってきて橋をかけてくれたり、いばらがあったら上着を貸してくれて先に通って道を作ってくれたり。

 

そんな頼りになる男らしいリッチ、実はものっすご方向オンチ。でも私は3次元の地図をつくってたおかげで、等高線を読むのはお手のもの!「地図が読める女」なのです。目指すところまでのルートを決めたり今の場所の把握、ルートの変更・指示は私の役目。リッチもなかなかやるけど、私の意見のほうが大体あってる。なのでちょっとは役にたってるのですよ!

 

ちなみに携帯電話はすっかり圏外です。

不思議なことに、普通に歩いてると風がなくても、Torの上に登り出したら髪が強くなびくほど風が吹き荒れる。いや、そこはいつも吹いているのかもしれない。

 

ある日の夜9時ころ。この夕日を見るために登ったTor、ここも強い乾いた風が吹いてたな…。見渡す限り荒野の地平線が続く。360度、聞こえるのはビュウビュウ、風の音だけ。

 

頂上に腰掛け、膝に毛布をかけてバッグから出したのは、こっそりこの夕日のために用意した乾杯用のスパークリングワイン。そう思っていたいけど、実際入ってたのはテキーラのボトル。「絶景とシャンパン」は私の大好物の組み合わせだけど、テキーラも悪くなかったよ。飲んだ後、すかさず「っくぁああ!!」って叫んでしまうけど。

Dartmoorといえば、彼らの紹介もしておかないといけない。

 

数え切れない種類の、次々とあらわれる動物たちの群れ。

岩の上で昼寝をしてたとき、目が覚めたら200頭以上のヤギさんの群れの中にいた事もあったよ。

 

牛さんも、黒いのもいれば、茶色いのもいたり。ロバもいたっけ、か?

 

 

 

羊さん。かわいい。近寄ると逃げていってしまうけど。。すっごいすっごいかわいい。

ときどき、こういう羊さんが車を止めてたりする。

そして私の一番好きな…ポニー!

 

馬は一緒にいると本当に、なんていうか、すごい優しい。今度行くときは下に敷くブランケットと読みかけの本を持っていって一緒にくつろぎたい。

Visaが切れて日本に帰らないといけなかったとき、リッチがくれたDartmoorのウォーキング本。表紙の裏側に、「I'm looking forward to go to Dartmoor again with you.」と書いてくれてました。11月ころイギリスに戻ったら、もうすっかり寒くなってるんだろうな。

 

また新しいTor目指して、歩いていける。

今度は私もちゃんとした防水のブーツを買おう。

 

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